たうんらいふ(タウンライフ)編集室

 

日本一の酒米の生産量と品質を誇る兵庫県。とりわけ美嚢郡吉川町は、古くは『日本書記』にも「優良米の産地である」と記述がある。

穏やかで、晴れの日が多い「瀬戸内海式気候」のここでは、田んぼが美嚢川や東条川の谷間に段々に広がっている。

夏の夜は瀬戸内海から暖かい海風が北上するが、六甲山系に連なる山々に遮られるため夜の気温が上がらず、昼と夜の気温の差が大きくなり、稲の実りがよくなるのだとか。 

「棚田」の特質を活かし、吉川町の篤農家が大正の末期から昭和初期にかけて、灘の酒造家との堅い絆を保つために万難を乗り越えて新しい酒米品種を育てたのが今日の『山田錦』の始まり。

日本の原風景ともいえる棚田や、茅葺農家が残る山田錦の里では、刈り取りを待つ稲穂が初秋の風に靡いている。

以上の記事は、月刊たうんらいふ第172号(2005年9月号)おしゃべりな表紙より抜粋したものです。